コーヒーの思い出

コーヒーを飲むと、かなりの確立で思い出すことがあります。それは、以前勤めていた会社の上司のことです。

ある日、コーヒーを入れて上司に持っていくことがありました。しかし、いったい何につまずいたのか、上司の目の前でカップを落としてしまったのです。

幸い、熱いコーヒーを浴びたのは床だけ。机の上の書類も私たちも無事でした。私は慌てて雑巾か何かをとりに行こうと思ったのですが、私が動くより先に上司が無言で立ち上がり、タオルを持ってきて掃除を始めました。

私は何もできず、立ちつくすしかありません。被害は最小限だったとはいえ、上司に片付けをさせているとは。申し訳ない思いばかりでした。

片付けを終えた上司に私が謝罪とお礼をすると、「大丈夫。けがはなかった?」と上司。正直、驚きました。いつも無口で、近寄りがたい人です。怒られるかと思いきや、とても優しい口調の言葉が返ってきました。

事務所全体が温かい気持ちになった、すてきな思い出です。いざというとき、私もあの上司のようになれたらと思ったものです。